東京のつらい場所

トラウマ巡りの旅。

Part2-2 @新宿(東京都庁の展望台・前編)

もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。新宿での最終目的地、東京都庁の展望台に登ります。

(付き添い・記事編集:Ryota、2017年11月23日収録)

 

デートの締めに都庁へ

Ryota(以下:R) 展望台は誰と行ったの?

 

もりた(以下:M) 飯田橋の彼とよく登ってたんだよね。私も都庁の展望台が元々好きで、バカと煙は高いところが好きと言いますが…。

 

R なんか落語のマクラみたいなの始まったけど(笑)。

 

M それでいい感じにデートして、登ったね。その人と何回も登ってる。どこか別のところで遊んで、そろそろ帰るっていうちょっと前に、「時間的にいい感じだから、都庁登って、そのあとバイバイしようか」って、よく行った記憶がありますねー。都庁は地下街通って行けるから雨でも濡れなくていいんだよね。割と手軽に遊びに行きやすくて。

 

R じゃあいい思い出だったのがつらくなってるパターンだ。

 

M そのパターンですよ。でも、今年入ってからも1回か2回は登ってるのかな。母親を連れてってあげて。母は娘にそんなつらい思い出があるとは知らず「すごいねー、東京だねー」みたいに言ってたけど。さぁ着いたよ、都庁。

 

R おー、俺、登ったことないからどこから入るのか全然わかんないな。彼氏と行ってたコースから入ってくださいよ。

 

M えっとね、この辺で手を繋ぎながらねー。

 

R (笑)。

 

M 冬に行ったときは「寒い! 風冷たい!」みたいなことを言いながら手を繋いでて、でもそれでも冷えてくるじゃん。そしたら私の右手がね、彼の左のポケットにお招きされるわけですよ。

 

R あー、BUMP OF CHICKENの「スノースマイル」的な。

 

M そういう感じになるわけ。で、向こうが照れ笑いするのに合わせて私も笑うっていう…。いい話かよ…。ほら、展望室の案内が出てきたよ。

 

R あの並んでる列、展望台行く人かな?

 

M たぶんエレベーターを待ってるんじゃないかな。…めっちゃ並んでる。(看板を見て)今日30分待ちだって。

 

R どうする?

 

M 時間大丈夫だけど。とりあえず並ぶか。

 

R 前にもりたが来たときはこんな感じではなかった?

 

M 20分待たされたことないね。今日は観光客多そうだからなぁ。

 

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飯田橋の彼との思い出

R じゃあ、列に並んでる間に、飯田橋の彼との一番いい思い出聞こうかな(笑)。

 

M えーっと、日常的な話だと、付き合って一週間後くらいに、「あのさぁ、指輪しよっか」って言われて、ポンと指輪買ってもらって、しかもお互い左手の薬指にはめてて。

 

R 浮かれてるな(笑)。

 

M その時まだ19歳だから許して(笑)。いわゆるペアリングで、石もついてなくて、結婚指輪に近い感じのシンプルなリングタイプのやつね。向こうの指輪には私の名前が彫ってあって、私のには向こうの名前が入ってるっていう。それをずっとつけてたんだけど、ある時、彼から「今日さ、ついに『結婚したんですか?』って聞かれちゃって、一瞬、どう答えたらいいかわかんなかったんだよねー」って、ちょっと照れた感じで言われた時に、「あー、私この人のこと、めっちゃ好きだ」って思った気がする。

 

R その指輪は、今は…?

 

M 塩まいてね、ガチャガチャのカプセルの中に封印されていると思う(笑)。

 

R えー(笑)。封印されているけど一応ある?

 

M 実家だけど。

 

R 塩まいたんだ。

 

M 清めたほうがいいかなと思って。

 

R そこまでに陥った経緯が飯田橋で明らかになるわけだな(笑)。

 

M そうだねー。指輪も2つあるから。最初からずっとつけてたのともう一個、「一年経ったからアップデートしますか」って言われて、そっちはもうちょっとペアリングっぽい感じの、ちょっとだけねじれが入ってるような指輪をしてたね。

 

R それも塩まいた?

 

M 二つとも塩まいてガチャガチャに入ってる。

 

R 当時、彼氏は学生?

 

M 社会人やってから大学に通い直してた人で、6歳くらい上かな。

 

R その飯田橋の彼に対して、今のもりたの気持ちはどんな感じなの?

 

M よりを戻せるんなら正直戻したいよね。納得しないで別れちゃったから。好きだったんだよなぁ、

 

R 好きだったなぁってなってるその気持ちで今から展望台へ近づいてるけど(笑)。どの辺が好きだったの?

 

M 趣味はすごい合ったよ。考え方も一緒だったし。そこが好きだったんだよなぁ。相手の背が低くてさ、付き合ってる時に、その身長差が気になっちゃって。私、ヒール高い靴が好きなんだけど、履くと相手の身長を越しちゃうから、気を遣って履いてなかったんだよ。健気じゃん私。

 

R いい感じで気持ちがふつふつ来てるね(笑)。

 

M ふつふつだよー。

 

R 若干、表情が張り付いた笑顔になってるけど大丈夫?(笑)

 

M 好きだったんだよねぇ…。いま気になる人とか、昔好きだった人が全員来て、誰とでも結婚できるよって言われたらたぶん、その人と結婚するんじゃないかな。と、思ってしまうくらいには好きだったよ。実際に会ったら違うのかもしれないけど。

 

展望台に到着! 

M …着いてしまったよ。

 

R 大丈夫?

 

M 全然大丈夫なんだけど…つらさはあるよね(笑)。よっしゃ、夜景見るかー。気合いいれるぞー!

 

R (笑)。どこがよく見てた辺り?

 

M どっちかな、この辺とか。

 

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R あー、きれい。

 

M 東京だなって感じがする。つらい場所が一望できるね(笑)。ここら辺でよく見てた気がするなぁ。

 

R この夜景はヤバいな。

 

M 超エモくない?

 

R エモい。

 

M 都庁の展望台は意外と知られてないエモいスポットだよ。あ、あそこにあるのはスカイツリーか。飯田橋の彼とよくここに登ってた頃は、スカイツリーがまだできてなかったんだよね。スカイツリーが完成してすぐの時に行ったんだけど、すごい混んでたから「10年後に登ろうね」って約束した。

 

R でも、10年後を待たずして別れちゃったんだ。

 

M うん、「10年後なんて嘘だったじゃん」って。「じゃあ10年後に連絡すれば会ってくれるの? 会ってくれないでしょ」って思って…。あ、ついでに下の喫煙所でタバコ吸っていい? 喫煙所、人が全然いないんだけど、そこからでもちゃんと夜景が見えるんだよ。

 

R (2人で喫煙所に入り)あ、本当だ、結構夜景、きれいに見えるね。

 

M 懐かしいなー。