東京のつらい場所

トラウマ巡りの旅。

Part5-2 @御茶ノ水~東京ドームシティ(御茶ノ水・後編)

もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。高校時代の初めての彼氏・カビゴンとのエピソードを振り返りつつ、東京ドームシティまで歩きます。

  (付き添い・記事編集:Ryota、2018年2月19日収録)

 

もりた二股疑惑事件

 

もりた(以下:M) うちの高校って山の上の方にあって、坂を上って学校に行かなきゃいけないし、帰りも坂を降りなきゃいけないから、登下校が結構面倒くさいのよ。その当時、部活内にシン君っていう仲のいい男友達がいて、彼は自転車通学だったのね。で、たまに駐輪場とかで会ったら「乗せて下まで降ろして」って感じで、よく二ケツしていたわけ。

 

Ryota(以下:R) 友達のノリとしてね。

 

M そうそう、二人きりってわけでもないし。シン君は他の男友達と一緒にいて、その人たちも私とシン君が仲いいのを知ってるの。それで、シン君を見つけたら「あ、シン君! 乗せてよ!」「え~、だって面倒くさいじゃん」「いいじゃん、乗せてよ」みたいな話をして、いつも乗せてってくれる。そのまま坂の下までザーッと降りて「じゃあねー、お疲れ様でーす」みたいな感じで帰っていくわけですよ。部活の後輩たちは、私に彼氏がいるっていうのは知ってたんだけど、同じパートの子以外は私が誰と付き合ってるかまでは知らない子もいたのね。で、私とシン君は結構一緒にいたから、シン君と付き合ってると思ってた後輩もいて。

 

R はいはい、二人は友達のノリだったけど、周りから見るとそういう風に勘違いしちゃってもおかしくなかったわけだ。もりたは、自分とシン君が付き合ってるって噂になってると知ってたの?

 

M それは知らなかったんだよね…。ちょっとした事件があってね、その日は霧雨が降ってたんだけど、駅まで10分くらいで到着できるから、面倒くさくて傘をさしてなかったの。そしたらシン君がいて、「お前、傘ささねぇの?」って言われたから「いちいち傘さすの面倒くさいじゃん、シン君の傘に入れてよ~」って感じで、傘に入れてもらって一緒に駅まで行ったんですよ。

 

R 友達のノリだけど、形だけ見れば相合傘だよな。

 

M そう、二人にとってはいつものノリでも、他の人から見たら「あの二人、超イチャついてる」って見えるわけじゃないですか。しかも、たまたまその日に限って、シン君と私だけで帰ったんだよね。

 

R 一緒に帰る友達が他にいなかったんだ。確かに構図としては相合傘のカップルが、イチャイチャしているように見えるわな。

 

M それから何日か経った後に、部活で同じパートの後輩から「先輩、話あるんですけど」って言われたの。私もパートリーダーだったから。「部活で何か心配事あるの?」って聞いて。

 

R 何か悩みがあるのかなと。

 

M そしたらさ、後輩が「もりた先輩とカビゴン先輩って付き合ってるんですよね?」って聞いてくるんだよね。「まぁ、一応そうだね。それが何?」って答えたら、「シン先輩とは何かあるんですか?」って言われて本当にびっくりした。寝耳に水だから。

 

R とうとうシン君と付き合ってる説がもりたの耳にも入ってきたんだ。

 

M 「いや、シン君とはめっちゃ仲いいし、一緒に帰ったりはするけど別に…」って答えるじゃん。そしたら「それなんですけど、シン先輩とよく帰ってるから、もりた先輩が二股してるって噂流れてますよ」って言われて。

 

R うわぁ…。

 

M 「待って、それってカビゴンの耳には?」「もちろん入ってます」って言われて。

 

R めんどくさい事態や…。

 

M 「だから最近不機嫌なのかあいつ…」と腑に落ちたけど。

 

R 機嫌はちょっと前から悪かったんだ。

 

M シン君と二人で仲良くしてるのが、前から気に食わなかったらしいのね。「俺だって一緒にいたいのに…」と思ってたらしい。

 

R で、いよいよ二股しているという噂になって、改めてカビゴンの耳に入ったと。…怖っ!

 

M いやー、怖ろしかったよ。そのときもまぁまぁ揉めたんだけど。

 

R それはその後どうなったの。

 

M 「すいませんでした」って謝ったよ(笑)。

 

R カビゴンはなんて言ってたの?

 

M 「俺はそこまで強く言いたくないけど、わかるでしょ?」みたいな感じで言われたから「はい、自分の傘は自分でさします!」って(笑)。

 

R ははは(笑)。

 

 

カビゴンとの別れ

 

M カビゴンとは合わないなと思って別れたかったんだけど、同じパートだし、席も隣だし気まずくなるじゃん。音楽は精神状態がだいぶ影響されるから、別れるタイミングを見計らってたんだよね。向こうが高校を卒業したときに別れても良かったんだけど、卒業1年目の人ってOBとして働きに来るから、しばらく顔を合わせるんだよ。だから、私が卒業するまでは別れられないなと思って、だらだらと3年くらい付き合ったね。

 

R 「別れたいわ~」と思いながらも付き合い続けている間の関係ってどんな感じなの? 向こうはどんな感じだった?

 

M カビゴンはめっちゃ私のこと好きだよ。

 

R 怒りはしたけれど、それでその件は収めたというか、落ち着きはしたんだ。

 

M まぁ泣かれたけどね。

 

R 泣かしてるなぁ(笑)。

 

M いっぱい泣かしてるねぇ。で、そのあとも紆余曲折いろいろあるんですけど割愛して…。

 

R 言えねぇんだ(笑)。書けないことが結構ある?

 

M 書けないし、話すと後2時間くらいかかるから。

 

R マジか…。じゃあ割愛して、結局高校時代のほとんど付き合ったあとで、カビゴンとは別れたわけだね。ちなみに、シン君とはそのあとも普通に友達として付き合っていくんですか。

 

M シン君はその後ねぇ、歌手を目指してねぇ…。

 

R おぉ!?

 

M 1回ヨーロッパでデビューしてるんだけど…。

 

R おぉっ(笑)!? 思わぬ展開だ!

 

M なんかねー、マルチっぽいノリの人になっちゃいましてねぇ。「もちろん応援してくれるよね?」みたいな。

 

R あー、あの頃のシン君じゃなくなっちゃったんだ。

 

M 「俺は夢に向かって頑張るから! そのためにはこういうこともしていくし…」って感じで目をキラキラさせてさぁ…、私と同じように、いい感じに腐ってたシン君じゃなくなっちゃったんだよね。きれいなシン君になっちゃったんだよ。

 

R きれいなジャイアンみたいな(笑)。

 

M そこからちょっと疎遠になっちゃった。

 

R なるほど…。で、話を戻すと紆余曲折あって、最終的に卒業して大学に入るタイミングで別れたの?

 

M 私が高校卒業して大学入った年って3.11があったから、演奏会が3月から5月に延期になっちゃったんだよね。その5月の演奏会が終わった一週間後くらいに別れたはず。

 

R 別れ話をしたとき、相手がインフルエンザだったんでしょ?

 

M それは後から知ったんだけどね。その時も体調悪いとは言ってて、「別れたい」って話したら泣くし、鼻がグスグスしてるし、今思うと本当に申し訳なかったなという気持ちはある。で、それからずいぶん経って、部活の同期が結婚をしまして、そこでカビゴンとは久々に再会しました。

 

R そのときはどんな感じだった?

 

M 恨みつらみを言われた。会うたびに言われるんだよねぇ。

 

R ははは(笑)、まだ引きずってるんだ。

 

M 「お前よりいい女も知ってるし、お前がゴミみたいな女なのも知ってるけど、俺は結局お前が忘れられなくて、誰とも付き合えないから慰謝料払え!」って言われる。で、私は「タバコ一本くれねぇ?」って言ってやった。

 

R もりたがいい女として評価される感じなの、すげぇ気に食わねぇ…。

 

M 私もいい女だとは思わないんだけど、忘れられない女なんだって。

 

R それがなんかいい女っぽいわ。ムカつくな(笑)。

 

M でもまぁ、高校の一番おいしい3年間をカビゴンでドブに捨てたよね。

 

R そしていい感じに腐ってた友達のシン君も夢に向かってしまい、残されたのはもりただけ…(笑)。

 

M そう、時が止まってるのは私だけ(笑)。

 

R そんな時によく楽器にメンテナンスに行ってた御茶ノ水だったわけだな。で、気付いたら東京ドームシティ着いちゃったけどね。

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Part5-1 @御茶ノ水~東京ドームシティ(御茶ノ水・前編)

もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。今回のルートは御茶ノ水から東京ドームシティ。御茶ノ水では、もりたが高校時代のエピソードを語ります。

 (付き添い・記事編集:Ryota、2018年2月19日収録)

吹奏楽部の思い出

 

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Ryota(以下:R) 明治大学の前を横切って、東京医科歯科大学が目の前に見える通りを歩いてます。御茶ノ水名物の楽器店街だね。

 

もりた(以下:M) 御茶ノ水は高校生のときによく来ていた場所。吹奏楽部だったから、楽器のメンテナンスとかによく来てたんですよ。

 

R おぉ、今回は高校の話が始まるわけだ。

 

M もりたの初カレ編ですよ。

 

R “飯田橋の彼”の、1つ前の彼氏?

 

M そう、一番最初の彼氏。御茶ノ水は、恋愛的に元カレがつらいというのもあるけど、どちらかというと吹奏楽部で精神ボコボコにされた方のつらさが…。

 

R あー(笑)、部活がつらかった?

 

M 私は直接言われてないけど、部活内で「あいつは音楽的には必要だけど、人間的には要らねぇ」って言われてたヤツはいっぱいいる。

 

R そんなにメンタル攻めてくる部活だったの?

 

M 吹奏楽ってゆるいイメージがあるかもしれないけど、うちはコンクールで上位入賞を狙ってたから結構ガチな部活だったの。しかも、大会の規約で編成上何人まで出られるっていうのが決まっていて、レギュラー争いがあるんですよ。もちろん、100%実力主義だからオーディションで落とされちゃうと、3年生だろうとコンクールに出られない。

 

R なるほど、厳しいなぁ。

 

M で、その元カレは部活の先輩で、担当パートも同じで、席も隣だったんですよ。部活は土日もあるから、四六時中一緒にいる状況だったんだよね。でも、付き合ってたけど全然好きになれなくて…。その元カレとどうして付き合ったかっていう話からした方がいいかな?

 

R そうだね。

 

 

もりた、告白する前に失恋する

 

M えーっと…ふっふっふ(笑)。

 

R 何(笑)!?

 

M 心の傷口が開いちゃって笑うしかない(笑)。

 

R いきなりそんなにつらい話になるの…。

 

M 私、今では初対面の人にでもべらべらしゃべれるけど、高校生の頃って結構人見知りするタイプだったんだよね。で、高校1年生の時、同じクラスに好きだった男の子がいたんだけど、好きすぎて彼には何も話しかけられない、みたいな状態だったの。

 

R もりたにもそんな時代が…(笑)。

 

M その当時、部活の親友に「〇〇君が好きなんだけど、上手くしゃべれない」とか「~に誘いたいけど誘えない」って恋愛相談してたんだけど、冬休み明けくらいから、その親友が急によそよそしくなったんですよ。普段からよく話してたのに、何故か距離を置かれるようになって。別の友達に「私、何かやっちゃったかな? 嫌われたかな?」って相談したんだけど、「いや、もりたが何かやったわけじゃないと思うよ」みたいな話をされて、結構モヤモヤしてたんだよね。ある日、その親友から急に「今日一緒に帰ろう」って部活終わりに言われて。

 

R お、きたな。

 

M 忘れもしない、ほっともっとの弁当屋の前で。

 

R ははは(笑)、描写が細かいな。

 

M 高校の近くの、坂のふもとのほっともっとの前で、その親友から「〇〇君のこと、ずっと相談してくれてたけど、実は私も彼が好きで…。このままじゃ心からもりたのことも応援できないし、良くないなと思って、彼に告白したら付き合うことになった」ということを言われまして…。

 

R うわー、出た! 先に告白しちゃった上に、OKも出ちゃったんだ!

 

M それを泣きながら話されて。

 

R 出た! もりたあるある! 「向こうが先に泣くからこっちが泣けない」パターンのやつだ!

 

M そのパターンに入ったから「あー、そっか、ごめんね、こっちも気付かなくて」みたいに言うしかないじゃん。相手は、「もりたとはこれからも友達でいたいから、このままじゃ良くないと思って話した」と言うわけですよ。

 

R 先に泣いて謝られるやつ、前回の飯田橋の彼のエピソードで聞いたことあるパターンだよ(笑)!

 

M だからそれを何年か前にもうやられてたんですよ、実は!

 

R そういう人生なんじゃん(笑)。

 

M そういう人生なんですよ…。それで、とてつもなく好きだった彼に告白する前に失恋したわけです。

 

R 思いを伝えないまま失恋かぁ。

 

 

初カレはできたけど…

 

M その親友と別れた後に、「つらいな…」って思いながら部活のたまり場になってたマクドナルドに行ったわけですよ。そしたら仲のいい男の先輩たちがいて、「あれ、今日は一人なの? 顔色も悪いし、何かあった?」って言われてさ、私も一瞬回ってテンション高くなってたから…。

 

R 一周回ったんだ(笑)。

 

M ハイになっちゃってたから「なんかー、よくわかんないんですけど、私、失恋したっぽいんですよね~」って言って。「え!? どういうこと!?」「よくわかんないんですけど、気付いたら失恋してた的な…」とか話したんだよ。で、先輩たちは「そうかそうか、今日はおごってやるよ! 何が食べたい?」って言ってくれて。

 

R いい先輩じゃん。

 

M マックシェイクと、ポテトと、そんなに好きじゃないアップルパイをおごってもらった(笑)。その後、初の彼氏になる人もその場にいて「お前大丈夫か? あんなこと言ってたけど相当つらいだろ? 何かあったらいつでも電話しろ」って言ってくれたんだ。毎日電話なりメールなりで連絡しあって話を聞いてもらってたんだけど、ある日、告白されまして。

 

R それは失恋事件からどれくらいのタイミングで?

 

M 2~3週間くらいかな。

 

R 元々、その先輩はもりたのことが好きだったの?

 

M かわいい後輩っていう感じだったんじゃないかな。「でも、付き合うのは無理かな~」と思っていたけど、失恋で弱った私の様子を見て「これ、押したら付き合えそうじゃね?」って考えたんだろうね。

 

R で、押された結果付き合うことになったわけだ。その時のもりたの心情としてはどんな感じだった?

 

M 「好きって言ってくれてるし、優しくしてくれるなら幸せになれるかもしれない」とは思ったかな。「もう傷つきたくない!」って感じ。

 

R 自分の恋心は叶わなかったけど、優しくしてくれるんならこの人でもいいかなってことか。

 

M 「人は見た目じゃねぇよ!」と自分に言い聞かせた。正直、その初カレが全然かっこよくない上になかなかの巨漢だったんですよ。ポケットモンスターで例えるならカビゴンみたいな(笑)。

 

R あー、カビゴンかぁ(笑)。とはいえ、ルックスには目をつぶって付き合い始めたわけだ。

 

M そこからがまぁ…、地獄だったよね。

 

R お、何があった(笑)?

 

M まず指輪もらって…。

 

R 出た、指輪!

 

M それが人生初の指輪ですよ。

 

R それは彼氏から渡してきたの?

 

M 1月に付き合い始めて、バレンタインデーのときにチョコレートを渡したら、ホワイトデーのお返しが指輪だったの。お互い初カレ初カノなわけですから、浮かれてるんですよ。向こうは指も太いから、指輪のサイズが21号だったんだけど(笑)。「私の親指に付けてもブカブカなんですけど~」って言ったりして。まぁ、その指輪、付き合ってる間に5回くらい失くしたけど。

 

R おいおい(笑)。

 

M でも5回失くして、もう出てこないなって思ってたころに見つかるから不思議だよね。高校の落とし物ボックスに入ってたり、学校の駐輪場の溝のところに落ちてたり。

 

R まともなところに落ちてないな(笑)。

 

M そもそも彼って、女っ気もないし「お前は彼女できない」とか散々言われている上、部活の中での態度も悪かったんだよね。そんなヤツが左手に指輪をしているということで「相手は誰だ!?」って部活内が騒然としたから、即行で指輪を外したりもして(笑)。

 

R 付き合ってることは周りに隠してたの?

 

M すごく隠してたわけではなかったけどね。さすがにいじられるのも面倒くさいし、3月が定期演奏会だったから、そこに向かって士気を高めているところで、仲間の和を乱すみたいなことはしたくなかったから。まぁ後々バレるんですけどね…。で、部活で毎日カビゴンに会ってるわけなんだけど、性格が全然合わなくてですね…。

 

R 何が嫌だったの?

 

M 向こうがすごく束縛してくるタイプで、重かったんだよね。

 

R まぁ、カビゴンからしたら、見た目のコンプレックスもある中、初めて年下の彼女ができたということで過剰に束縛しちゃったのかもしれないな。

 

M カビゴンは夜にアルバイトをしてて、毎回23時くらいに終わるんだけど、いつも帰り道から電話をかけてくるんですよ。それに出ないとめちゃめちゃ不在着信が入ってて。寝落ちしたら文句も言われるし。

 

R それは確かに面倒だなぁ。

Par4-3 @有楽町~東京駅(東京駅・後編)

もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。久々のデートで“飯田橋の彼”に3時間の遅刻をかまされたもりた。あの頃のモヤモヤした気持ちを思い出しながら、東京駅にたどり着きます。有楽町~東京駅編最終回。

(付き添い・記事編集:Ryota、2018年1月8日収録)

 

怒れなかったデート

 

もりた(以下:M) それで、お互い不機嫌なままでディズニーシーに行ったわけだけど。

 

Ryota(以下:R) まぁ、チケットがもったいないからな。

 

M 早起きしたから眠くてボーっとしてたら、間違えてディズニーシーのチケットなのにディズニーランドに入ってしまい、「再入場できないじゃん!」ってなって。本当はチケットが違ったら受付のところで言われるんだろうけど、混んでたからそれもなくって、ランドに入っちゃって「あれ!? お城ある!?」って気付いた。それで私のテンションがさらに下がってしまって。彼が気を遣って「俺、お金半分出してあげるから、シー入ろう?」って途中でシーには入ったんだけど。まぁ、デート中に色々と思うところはあったよね。でも、私もそんなにガツンと言わなかったな。今思うと、あそこで私がもっと怒ればよかったのかもしれない。

 

R 「今までサークルのことで揉めたよね? で、昨日も遅れないように早く帰ると言ってたのに3時間遅刻して、しかもサークルでオールしてたって何なんだ!」ってことだよね。

 

M 「ありえない!」って。

 

R まぁ、そうだよな。

 

M 「サークルのことも大切なのはわかるけど、そんなにないがしろにされて私も何も思わないわけじゃないし、そういうの本当に嫌だから、サークル辞めてとはいわないけど、もうちょっと考えてよ!」って、言えばよかったのに…。

 

R 言えなかった?

 

M 良い顔しちゃってですね…(笑)。「サークルのこともわかるけど、連絡つかないと心配だし…。やっぱりそんなに会えないから、会える時くらいはちゃんと会いたいよ」くらいしか言えなかった。

 

R 相手を気遣ってるモードにしちゃったんだ。

 

M 「私は心底怒ってるぞコラ!」っていうテンションで言えば、向こうも「俺も思うところあって」ってぶつかりあえたのかもしれないけど、その当時は嫌われたくなかったから。ぶつかることもせず、喧嘩もせず。ちょっとやんわり「嫌だよ」って言って終わる。

 

R それは、シーに行くときに言ったの?

 

M そうそう。合流できたときに「大丈夫だった? 心配したよ。さすがにちょっと連絡ないのは困るよ」って。帰りのときにも、「楽しかったけど、こういうのはあんまり、嫌だな」みたいなことは言ったかな。向こうは「ごめんね、ごめんね」って謝って、私は「今日は会えたからとりあえずよかった。また会ってくれる?」って。

 

R その後、彼はサークルの件とか改善してくれたの?

 

M ううん。もりたの優先順位は下のまま。

 

R そこで彼氏は許された気になっちゃったんだろうな。許されたから「いいや、このまんまで」ってなったんだよ。

 

M そう、「ちゃんと連絡すればいいんでしょ」って。まぁ、連絡するのは前提なんだけどって感じだよね…。

 

最初から惰性だった?

 

M いぇーい、東京駅に着いたぜ!

 

R 今日はホームには上がらないけれども。

 

M 東京駅で、天井が奇麗なところあるじゃん。あそこが竣工したときにも2人で来てるなぁ…。でも当時のことを思い出すと、「自分も悪かったな」と思いつつ「でも、向こうも悪いだろ」ってね、怒りが勝っちゃう。

 

R 根本は彼氏だけど、もりたも怒れなかったなっていう後悔はあるわけだよね。そこを長引かしちゃった分、傷口がより開いちゃってる感じはある。今回の収録が始まる前にさ、彼と付き合ってる時期が被ってる女がいたって話をしてたじゃん。彼はその女と今も付き合ってるんでしょ? そっちと飯田橋の彼はいつ頃からの関係なんですか。

 

M わかんないけど、3時間遅刻事件の頃じゃないかな。その頃にうまく行ってなかったから、たぶん向こうの女に「今の彼女と最近うまく行ってなくて」みたいな話をするところから始まって…、どの女かわかんないけど、いまだに私はサークル関係の女だろって思ってる。

 

R 俺もそんな感じがするな。飲み会とかでしゃべったんだろうなって気がする。

 

M そう、「あいつ、うるさいんだよ」とか。しかも、彼の好みはどう考えても私じゃないんだよ。かわいい系というか、女子アナ系が好きなタイプだったから、それも相まって。だって、サークルもそんな感じの子多かったし。

 

R 彼の好みじゃないんなら、なんでもりたと付き合うことになったの?

 

M うーん、もりたが「今付き合ってるみたいな状態だけど、私はちゃんと好きだし付き合いたいけど、どうするの?」って言ったから。

 

R あー、じゃあそれこそ、最終的に彼から「惰性で付き合ってた」って言われて振られるわけだけど、やっぱり最初から惰性だったって可能性高いよな。もりたがそうきたからOKしたけど。

 

M そうだよ、でも指輪くれたじゃん~。

 

R (笑)。

 

M 最初に知り合ったときは向こうに彼女がいて、「でも別れたい」って言ってて、そのあと何回か遊びに行ったけど、「これもうデートだよな」って感じだったし…。「本当に彼女と会ってなくて、次会ったら別れ話するんだ」ってタイミングで、一緒に鎌倉に行ったんですけど、そのときに私の方をチラチラ見てるから、「どうしたの、何かあった?」って聞いたら、「いや、いつ手をつなごうかなと思って。デートだし」って彼が言ったりとかしてさ…。

 

R 向こうからも仕掛けてるんだよな。

 

M そんな感じだったから、「やっぱりちゃんと付き合うなら付き合いたいし、そうじゃないんだったらつらくなるから、普通の友達でいたい」って言って、それで付き合ったんですよ。

 

R そのとき、彼としても「いけるもんならいっとけ」になっちゃったのかな。

 

M そうかもしれない。たぶん今の彼女とも私とうまく行ってない時に、同じような感じで「彼女とうまくいってなくて」って言った可能性は往々にしてある。

 

R で、年末に彼のFacebook覗いて、まだその彼女とうまく行ってるのを発見してジタバタしてたんだっけ。

 

M そう、「5年もまだ付き合ってんの!? ステータス変えてないだけじゃないの!? ヤダヤダヤダヤダ~!」ってジタバタしちゃってる(笑)。

 

好きのパワーバランス

 

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R ディズニーに行くには、どの改札から行くのかな。

 

M うーん、実際にはホームで待ち合わせてたわけだけど、私は八重洲中央口を使ってたから強いて言うなら、ここかな。

 

R お、ここか!

 

M もうやだ~。つらいよ~。でも、今あの場面になっても怒れるかって言ったら、正直自信ないかも(笑)。

 

R そっかー。でも、俺が思ってたより彼氏も悪いなー(笑)。

 

M 私も私でメンヘラだったから、ちょっと重かったとは思う…。

 

R 彼氏としても、もりたから逃げたい感じがあったんだろうね。

 

M ちょっと距離置きたいみたいな。

 

R もりたが重い感じできてて、それよりはサークルでわいわいやってるのが楽しいから、そっちいきたいなってなっちゃったのかも。複数人との約束がある用事ならもりたも文句言わないだろうと踏んでたんだけど、ちょっと文句が出始めたから、余計にサークルの方にいきたくなっちゃったんだろうね。

 

M たぶんそうなんだろうな、とは思うけど…でも、だって会ってくれないんだもん…。

 

R もっと会いたかった?

 

M 会いたいでしょ、そうじゃなくても会えないのにさ、会う時の一回一回も大切にしてもらえなくてさ。

 

R そうだよね。

 

M じゃあ何、私の何が悪いの? …悪いのはわかってるよ、重たいことですよ。…あ、そこから乗ってたと思う。ここは、そういう苛立ちの場所ですよ。悲しみのほうが強いけど。

 

R もりたにとっては決定的に、彼に対して「私よりサークルが大事なんですね」ってなった場所だ。

 

M そう、そういう場所。

 

R 「伝わってなかったですよね、私の気持ちは」ってことだな。

 

M そうだね。好きだったのになぁ~。そこで決定的にすれ違ってたと思う。好きのパワーバランスが取れてないと、すれ違っちゃうから。パワーバランスは私の方が確実に大きくなっちゃってたから。そこでもう駄目だったんだと思う。

 

R 今泉力哉さんっていう、恋愛ものを多く撮ってる映画監督さんが、お互いの想いが50:50で一緒になることは絶対ない、両想いはないって話をしてたんですけど、その感じだよね。

 

M そうだね、一番最初のファーストアタックは多分向こうが多くて、付き合うくらいで同じくらいになって、そこから途中で逆転しちゃって私の方が好きになっちゃったんだろうね。

 

R 最初は向こうからガンガン誘ってきた?

 

M 別にそんな遊ぶつもりとかはなかったけど、「どこか行かない?」とかさ、「鎌倉行こうよ」って言ってきたのも向こうだったから。パワーバランスで言ったら向こうの方が上だよね。

 

R 「そっちが最初に誘ってきたんじゃん!」感もあるよね。

 

M で、彼が煮え切らないから、結局私の方から「もう彼女がいないなら、付き合いたい」って言って、で、付き合えて、そこからはしばらくハッピーな時期が続き。

 

R ちなみにハッピーはどのくらいの期間なんですか?

 

M 1年くらいはハッピーだったんじゃない? お互い1年間は新鮮じゃん。けれど、だんだん会わなくなったりして、お互いに忙しいことも出てきてっていう感じかな。

 

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R あ、ここでしょ? 天井が奇麗なところ。

 

M そう。ここも2人で写真撮ったな。

 

R ここ、「東京ステーションギャラリー」って美術館があるの知ってる?

 

M 知ってる、「一緒に行こうね」って彼と言ってて来なかったから。

 

R 俺、去年初めて来たんだけど、駅のついでにくっついてる雰囲気だからちっちゃいのかなと思ってたら、3階建てくらいなんですよ。

 

M 今、何の展示をやってるんだろう。

 

R 「鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます」だって。今日はもう時間的に入れないけど。

 

M まぁ、そんな思い出の場所だったよ。オチがないけど(笑)。

 

R でも、決定的に彼氏に想いが伝わってないことが分かった場所ってことだね、東京駅は。

 

M だから次は、次に付き合った人には怒ろうと思います。怒りすぎも良くないけど。

 

R 飯田橋の彼にはあの時怒れなかったから。

 

M 怒れなかった。怒りたかった。

 

R 「私は嫌だよ」っていうのは言ったほうがいいよね。

 

M うん、次こそは「そっちの気持ちもわかるけど、でも嫌だよ」って、ちゃんと言おうと思う。

 

 

Par4-2 @有楽町~東京駅(東京駅・前編)

もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。今回は東京駅へ向かう道中、もりたが“飯田橋の彼”にデートで3時間遅刻された事件の経緯を語ります。

(付き添い・記事編集:Ryota、2018年1月8日収録)

 

5年前の破局を噛み締める

 

Ryota(以下:R) さぁ、無印良品を出て、東京駅方面に向かいますよ。

 

もりた(以下:M) 東京駅ねぇ。彼は飯田橋で、当時は私もJRを使ってたから、東京駅で待ち合わせすることも多かったんですよ。で、指輪を買ってもらったときに、東京駅ではめてですね、手を重ねて写真を撮ったりしてたわけですよ。

 

R それ、東京駅でやったの?

 

M 東京駅でもやってる。指輪買って、はめてもらって、買った記念にパシャっと撮るみたいな感じかな。あ~。

 

R 「あ~」ってそれ、何が出てるの(笑)?

 

M いや、そんなこともしていたのに、人はいつか別れるものでありましてね。

 

R なるほど「別れたなぁ~」ってなってるんだ、今。

 

M 別れたなぁ~。あれだけいちゃいちゃしてたのに別れたなぁ~。

 

R 噛み締めてるんだね。

 

M 別れた、しかも若かった…。

 

R 5年前だもんね。

 

M 帰り際に「また当分会えないね」「そうだね」って言いながら、今考えたら超迷惑だったと思うけど、電車に乗ろうとした寸前で引き留められて、軽くキスして「じゃあね」って別れるとかやってたなぁ~。

 

R それが今ではもう…。

 

M 今なら、そんなカップル見るたびに舌打ちだよね。

 

R ははは(笑)。あのまま夢を見れたらよかったのにね。

 

M もしも関係が続いてたら、19歳からだから、6年くらい付き合っている計算になるわけでしょ。そうなったら今頃、あの人ともう結婚してると思うもん。

 

R あの頃のもりたに教えてあげたいね。

 

M 教えてあげたい! 「お前それ夢見てるからな!」って。

 

R 「そいつと別れた上に、そのつらい思い出の場所を回る企画やるぞお前!」って(笑)。

 

M 「しかも、そのあともお前、まぁまぁ痛い目見るからな! 今だけだから楽しみな!」って(笑)。

 

R 基本的に満身創痍だからな、もりた。

 

M 「お前の愛のある感じ、最終的に毒になって返ってくるから!」って言ってやりたいね。

 

R でも若き日のもりたは彼氏を待ってるわけですな、東京駅で。

 

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3時間待ちぼうけまでの布石

 

M 例の東京駅で待ちぼうけ事案は、20歳のクリスマス直前くらいかな。

 

R 待ちぼうけ事件が起きてから、別れるまでの期間はどれくらい?

 

M 4か月後くらいに別れてます。

 

R じゃあ、待ちぼうけの時点で、別れる予兆がちょっと出始めてたのかな?

 

M まず、待ちぼうけ事件の前に、色々あったんだよ。彼は結構な飲みサーに入ってて、「お酒嫌い」とか言ってる割に、幹事長だからっていうのもあって、よく飲み会してたの。それである日の深夜に、ベロベロに酔っぱらった彼から電話がかかってきて、「ちょっと今日、サークルで色々あって少人数で飲んでたんだけど、女の子が一人、飲みすぎて泣いちゃって泥酔してどうしようもなくて…」って言うのね。何だかよくわかんないんだけど、その子の家の方向に帰る人が一人もいないと。でもこの状況で帰すのはまずいから、俺の家に泊めることになってしまったと。彼とその子と2人きりなわけですよ。「本当申し訳なくて…」って普段全く泣かない彼がグスグス泣いてるわけですよ。

 

R 彼は平謝りだ。

 

M だけど、彼は飯田橋で、私の家は八王子じゃないですか。時間は深夜12時近いわけですよ。当たり前に「今から行けないじゃん!」ってなるよね。でも「その女の子、放り出して」とも言えないし。「良いと思って無いのはわかってるけど、言わないとまずいなと思って」とか彼は言うんだけどさ、「そこまでなんだったら逆に言わないでよ!」って思ったね。後から知られてこじれるのが嫌だっていうのもわかるけどさ、夜中に言われたところで私にはどうにもできないし、心配するし、信じてるとはいっても、さすがにめちゃめちゃお酒飲んだ状態で2人っきりだったら何があるかわかんないしさ。「今からそっち行くから」って言いたいけど、もう終電もないし。

 

R 八王子から行くってなると、それだけ相手も待たせることになるもんな。

 

M それで、「仕方ないね」って話をして。正直嫌だけどどうしようもないから、「じゃあ、その女の子を泊めてあげて」っていい顔したんですよ。そしたら奴は泣いてるし酔っぱらってるし、調子乗ったのかわかんないけど、「引っ越ししてから一番最初に家に上げたのは君だよ、って言ってたけど、ごめん。君の前に他の女の子を呼んでる」ってなぜか暴露をしてきやがって。

 

R え、その流れで!?

 

M そう、だから「もうそういうこと言うなよ! お前が泣いてるから泣かないけど、私だって今泣きたいんだぞ!」って思って。

 

R それはなんで言っちゃったんだろう。

 

M 罪悪感のついでで言いたかったんでしょ。自分は楽になりたいから。

 

R もりたに報告したことで、女の子を連れ込むという後ろめたさから解放されたついでに、全ての後ろめたさから解放されたいってなっちゃったのかな。

 

M お酒も入ってるし、たぶん正常な判断ができなかったんだろうけど。そんなこと言われても何もできないし、過去の話だし、いまさら怒るのも筋違いだと思うし、負けた気がするし…。

 

R いまさら言っても何ともなりませんわな。

 

M だから「はぁ~、そっちの子もヤバそうだし、とりあえず今日は寝なよ。私も何にもできないし、いろいろ思うこともあるから、ごめん」って電話切って。でも、さすがに次の日、色々とすごいモヤモヤしたんだよ。

 

R そりゃモヤモヤするよね。

 

M でも、言い方を考えないとまずいなと思って、考えた結果「やっぱり、昨日のは嫌だった。どうしてもそういうことがあるんだったら、本当は男の人のほうがいいけど、もう一人女の子でもいいし、とにかく3人にして泊めて」って言ったの。

 

R 2人きりは納得がいかんと。

 

M 「何もないとは信じてるけど、疑っちゃう気持ちはあるから、ちょっとつらい」って。相手は「ごめんね、ごめんね」って謝って、その件はいったん終わらせたけど…、終わらせたけどですよ…!

 

R そのあたりから彼氏に対してモヤモヤし始めたんだ。

 

M モヤっとはするでしょ! 女の子を泊めた事件の翌々日くらいにデートの約束をしてたんだけど、その日も「ごめん、サークル長引いてて」って1時間半待たされたんですよ。連絡は貰ってたけど「サークルが終わる時間はわからない」って。それはそういうこともあるのは分かるけどさぁ、「サークルのことで揉めた後にそういうことするの!?」って思った。そりゃ私も予定あるし、お金もそんなに無いからあんまり会えなかったのもあるけど…、でも私とは会わないのに、「その日はサークルがあるから会えない」とか言うんだよ。今思うと嫌な女だったなって思うけど、デートしてる時に「この後サークルがあるから」って言われて、一度だけサークルについていったことがあるんだよ。

 

R うわぁ~っ! それはちょっと困るねぇ。

 

M 向こうに「来る?」って言われたからなんだけど、それにしても嫌なやつだったと思う。

 

R それは男側もそうだし、サークルの人もちょっと困るわなぁ。

 

M そういうこともしちゃったりしてた。だって久々のデートなのに「ごめん、このあとサークルが」って言われたら、「だってこの前だって、サークルの女とそういうことあったんだから、何あるかわかんないじゃん!」ってなるよ。「どっちが大切なの!?」とまでは言わないけど、さすがに嫌だよってなるじゃん。

 

R まぁ、もりたよりサークルの優先順位が上だよね、という感じではあるな。

 

M 「私のこと本当に好きなの?」ってところに行っちゃったんだよな。

 

R サークルについていってどうだったんですか?

 

M いや別に何も。

 

R ただ自分が来たことで若干気まずくなってる感じ?

 

M そう、誰も幸せにならない感じ(笑)。

 

R ははは(笑)。そういうこともあって彼氏に対してモヤついてたところがあったわけだ。

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3時間待ちぼうけ事件の顛末

 

M 私、塾講師のアルバイトをやってたから、冬期講習があって。うちの塾の先生って全員大学生で、しかも地方出身の人が多かったから、その時期は帰省してる人も多いんですよ。そうすると地元組の先生が出なきゃいけない。お金も稼ぎたかったし、その当時は担当の生徒も結構持ってたから、休もうと思えばクリスマスも休めるんだけど、バイトにガンガン入ってたわけ。

 

R そうなるとクリスマスとか、カップル的にアツい時期も割と逃しちゃうよね。

 

M 日曜日にもバイト入ってたし、クリスマス当日もフルのコマ数入れて授業予定だから、早めのクリスマスデートをしようってことで、ディスニーシーに行く約束をしてたんですよ。チケットは彼が先にネット予約で取ってくれて、「当日お金渡すね」って言ってたんだけど、そのデートの前日がサークルの飲み会だって話になって。「でも予定あるし、そんなに飲まないし、お酒も好きじゃないし」って彼は言うわけですよ。

 

R 早めに切り上げてくるよと。

 

M 「朝から行こうね」って話をしてたから、朝7時に東京駅に集合にしてたんですよ。でも、案の定、彼は朝までオールで飲み会してたらしくて…。

 

R おっ!?

 

M しかも、オールするっていう連絡なかったんだよ。前日に「明日大丈夫?」「大丈夫、ちゃんと帰る」ってやり取りしてたのに、待ち合わせ時間に着いても居なくて、30分くらい待っても連絡来ないの。事故とかに遭ってたら困るなと思って、電話を何回かけてもつながらないし。「どうしたのかな…」って1時間半くらい待ってたのかな。その上、天気も悪くて、雪が降ってたんだよ。

 

R もう駅のホームには上がってるの? 駅前で待ってるんじゃなくて乗り換え待ち?

 

M そうそう。私は八王子から来てて、向こうも東京行きの電車で来るから、駅のホームで待ち合わせて埼京線に乗り換えて行くことになってたの。でも来ないから、1時間半待つじゃないですか、雪の降る寒い中で。

 

R ホームってことはほとんど外ですわな。

 

M 風も強いから雪も吹き込んできますわ。

 

R 駅の中に入ろうとか思わなかったの?

 

M でも、いつ来るかわかんないし。

 

R そうか、連絡とれないからすれ違うと困るもんね。

 

M だから、とりあえず待ってたら、待ち合わせ時間から1時間半後くらいに電話がかかってきて、「ごめん、朝までオールしてて今起きた」と言うわけですよ。「今から急いで支度するから待っててくれ」って言われて電話を切られたんだけど、支度中は電話で話せないじゃないですか。「お前、何時に来るんだよ!」っていう感じで、さらに1時間半追加で待って、結果3時間待ちぼうけ。

 

R うわ~っ、それで3時間待ちぼうけなんだ! それまでにサークルのことで揉めに揉めてからの、サークルのせいでディズニーシーデート待ちぼうけなんだ!

 

M そう。

 

R 彼氏もきっと、最初は「帰んなきゃな~」とか思ってたんだけど、段々飲み会が盛り上がってきちゃって、終電無くなっちゃったんだな。でも、もりたに今連絡すると、多分怒られちゃうから。「ここまできたら飲んじゃえ!」になっちゃったんだ。

 

M 時間忘れて気付いたら1時とか2時とかで、「ヤバい!」ってなっちゃったのかもしれないし、それはわかんないけど。そのまま寝ずに行けばいいやくらいの気持ちだったのかもしれないけどね。

 

Par4-1 @有楽町~東京駅(有楽町駅前・無印良品)

もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。今回は有楽町駅から出発して、徒歩で東京駅へ向かいます。“飯田橋の彼”とよく行ったという無印良品に立ち寄ると、もりたの記憶のふたが次々と開き…。 

(付き添い・記事編集:Ryota、2018年1月8日収録)

 

宝くじ売り場で待ち合わせ

 

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Ryota(以下:R) さぁ、JRの有楽町駅前ですよ。有楽町には“飯田橋の彼”とよく来たの?

 

もりた(以下:M) そう、飯田橋の彼。この前、クソつまんない男とも待ち合わせしたけど。

 

R ははは(笑)。

 

M よく待ち合わせ場所にしてたのは、そこの宝くじ売り場。向こうが遅刻してくるときは、暇つぶしにスクラッチくじを1枚だけ買ったりしてた。

 

R 彼が遅刻したらスクラッチ…、もりたが遅刻して、彼を待たせることはないの?

 

M あんまりないね。

 

R ちゃんともりたは来るんだ。

 

M その時はちゃんと相手のこと好きだったから、遅刻したことはほとんどなかったの…。有楽町には、特に何か用事があるから来るってわけじゃなかったけど、無印良品にはよく行ってたね。彼は無印良品大好き人間で、自宅がもう無印良品の部屋みたいな感じ。

 

R 無印良品のモデルルーム的な。

 

M そうそう。だから、宝くじ売り場で待ち合わせて、そのまま無印良品に行って、っていうお散歩をよくしていた気がします。それももう5年以上前…? キツイな、5年前か。5年前の恋愛を引きずってるってちょっとさぁ、痛くない?

 

R うん、痛いっすよ。その痛さを見せる企画だから。

 

M まぁね…(笑)。

 

 

もりた、無印良品で吠える

 

M はい、来ましたよ、思い出の無印良品

 

R 無印には結構な頻度で来てたの?

 

M ここだけじゃなくて、デート中に割と色々なところの無印良品に行ってた。お互い目的もなく商品を見るのが好きだったから、フラっと来ることが多かったね。昔はここの1階がLOFTだったわけですよ。で、最初のペアリングはそこで買ったなぁ。THE KISSっていう、LOFTには大体入ってるジュエリーブランドのやつ。「指輪買っちゃう?」ってノリでさらっと買ったよ。

 

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R おっ、この辺りはモデルルームっぽくなってるね。

 

M 彼の部屋はここまで広くなかったけど、これっぽい感じだった。

 

R これの縮小版みたいな。

 

M そう、こういう感じの…あ、多分ヤツが使ってたベッド、これだ! このベッドで2人で寝てたわけですよ。あー、絶対そうだ! あいつ寝具これだったもん。

 

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R このベッドの上に、こっちの黒白ストライプのシーツの布団がかかってたんだ。

 

M そう。で、掛布団のシーツはあっちの青いやつ。枕カバーはこだわりがあって白って決めてる人だったの。

 

R あえて柄を揃えないっていう、彼のこだわりなのね。

 

M うわー、思い出したらぞわぞわしてきたー! アイボリーと茶色の感じの部屋なんですよ。ちょっと木を使った感じの上質な暮らしをしてたんですよ、ヤツは。うわっ、この辺のタオルもあったし、収納ケースもこういうのがあって、ここに自分の服が入ってて、私の寝巻きが奥の方にこっそり入ってるっていう感じで暮らしてたんですよ…。うぉ~っ。

 

R 吠えてる(笑)。

 

M だってあの黒い収納ケースもあいつの家にあったもん。あれにCDとかめっちゃ入ってたんだよ! ミスチル

 

R ミスチル入ってたんだ(笑)。

 

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M で、ごみ箱もあの木のやつでしょ…。うわー、ここ、あいつの家じゃん…。

 

R ははは(笑)、あいつんちだ!

 

M 本とかもああいう感じで収納してたんだよ…。

 

R 商品見るだけでそんな風になっちゃうなら、今後、無印良品来れなくない?

 

M いや、来るよ。私も無印好きだもん。

 

R でも思い出しちゃうでしょ?

 

M いや、思い出しはするけど…。うわ、これもそうだよ、こういう感じだったよ、あいつの部屋…。

 

R あの頃の飯田橋の部屋が脳内に再現され始めている…!

 

M こういう机にMacProが置いてあるんですよー。

 

R そういうヤツはMac使ってるんだろうな。

 

M よし、じゃあ次はヤツの服装を見に行くか。似ている服装のマネキン見つけたいなー。あいつは、「絶対ダウンは着ない」って言ってて、タートルネックも嫌いな男だったから、強いて言うならあっちのマネキンに近いかな。

 

R これ?

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M そう。そういう感じに近いかな、普段着ていた感じは。シャツで言うとね…。白ワイシャツが一番多い。あっ、この辺! この辺ばっかり着てた!

 

R 特に白?

 

M 白と紺! あと、紺地に白い水玉のやつ! そう、そういうヤツだったんだよ!!!

 

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R 無印良品でこんなに怒ってるトーンの人いないよ(笑)。

 

M 腹立つけど私も無印好きだから、まぁまぁ同じもの使ってるんだよな。ふつふつと怒りが湧いてきたよ。「私も無印良品使うけど、お前のとは違うから!」みたいな。

 

R 「お前の無印良品好きと、私の無印良品好きを一緒にするんじゃねぇ!」ってことか(笑)。

 

M あー、あのディフューザーもあいつの家にあった! 私も正直欲しいと思ってる!

 

R あいつの家にあってムカつくから、欲しくても買わないんだ。

 

M そう、「ムカつくし、そんなに家にも居ないんだから要らない!」って。でもいいよなぁ…。

 

R 欲しくなっちゃった?

 

M 欲しいなぁ。「夜中にこれで上質な眠りが取れるんだったらアリなんじゃないの?」って思っちゃう。

 

R でも、あいつを思い出しちゃうから嫌なんでしょ?

 

M そう、「でも、あいつの家にあった…許さない!」って。やべぇな、こんなに無印で怒ることってあるんだという感じだよ(笑)。

 

R でも、別れてからも無印良品には来てるんでしょ?

 

M いや、来るよ。なんだったら一昨日くらいも行ったよ。

 

R でも普段はそんなに怒んないでしょ。

 

M たまに思い出してイラッとなることはあるかな。

 

R 不意打ちで「あ、これ、あいつのところに…!」って?

 

M そう、不意打ち。思い返すとあいつ、無印の上質な暮らしをしてたんだな。

 

R 本当に無印で揃えてたんだね。

 

M ディスペンサーも多分そうだった気がする。ちなみにうちのディスペンサーも無印だから。被ってるけど。

 

R 「ムカつく」より「欲しい」が勝ったときだけ買うわけだ。

 

M そう。なぜかというと無印のデザインが優れているから。あいつはよくわかってたんだなぁ。やっぱり、おしゃれだよ。正直、私もああいう家に住みたいと思ってたもん。悔しいから絶対に無印みたいな家にはしないと思ってるけど。で、結果ヴィレバンみたいな部屋になってる。

 

R 何なの、ヴィレバンみたいな部屋って。物がめっちゃあるの?

 

M 量もあるし、結局「好きなものを好きなだけ」ってコンセプトでやってるから、セーラームーンの変身ステッキみたいなのが並んでるところがあって、その横の棚を見ると綾野剛の本がバーッと並んでるところがあって、違うところを見るとコスメがいっぱい並んでるところがあって、本棚を見るとすごい真面目な仕事関係の本が並んでるコーナーもあれば、漫画とかが置いてあるところもあるし、大学の時の研究書が置いてあるところもあるし、さらに見るとサタミシュウの「私の奴隷になりなさい」シリーズが大量に置いてあるところもあるし。すごいカオスだよね。

 

R それに比べると相手の部屋は整っているというか、まとまってたんだ。

 

M まとまってたね、あれは。見えるところには寺山修司糸井重里だけが置いてある、って感じ。その並びにそぐわないものはちゃんとカラーボックスに入れて、見えないところに収納してある。

 

R 見せるものと見せないもののコンセプトが自分の中できっちりしてるんだ。

 

M そう、しっかり分けてきれいに整頓してある感じ。で、無印の茶色いタオルを使ってる。

 

R 細かいな(笑)。やっぱり覚えてるもんだなぁ。

 

M 覚えてるよ、だって好きだったんだもん。最近開き直ってるね(笑)。

 

R 「あの頃は好きだった!」って。

 

M そう、「好き!」って。

 

R 「それは認めるから!」って。

 

M そう、認める!

 

R でもムカつく?

 

M ムカつく! ほんとムカつく! 何が愛する人じゃ!(笑)

 

R 面白いなぁ(笑)。

Part3 2017年末~2018年始の近況報告

もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。有楽町~東京駅間での街歩きを前に、年末年始の出来事をもりたに聞いてみました。

(付き添い・記事編集:Ryota、2018年1月8日収録)

 

もりた、飯田橋に行く

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Ryota(以下:R) 「こんなことが起きるんだな」ってびっくりしたのは、「東京のつらい場所」のゴール地点に設定した飯田橋に、もりたが会社の忘年会で行っちゃうっていう。

 

もりた(以下:M) いや、一番トラウマ度の高い東口の方じゃなかったから…。

 

R 大丈夫だった?

 

M いや…、心は死にました…。そもそも私が忘年会の幹事だったの。上司からは「クリエイティブな忘年会をしたい」って言われて。

 

R なんだ、その発注(笑)。

 

M そういうオーダーだったから、企画書作って、15店舗くらい概算で見積もりも出したんだよ。それで多数決やって、結局、無難なところになるじゃん。

 

R クリエイティブなところにはならなかったんだ。

 

M そう。社長とかも来る忘年会だったから、ちょっと格式高い感じで行きましょうってことで、神楽坂の懐石料理系のお店に決まったんだ。最寄り駅も神楽坂だと勝手に思い込んでたけど、ふたを開けたら飯田橋が最寄りだったっていう事実に、忘年会前日に気付くという…。幹事だから、会社から直接行く人を電車で連れていかなきゃいけなくて。

 

R 自分が先導して飯田橋に行かなきゃいけないわけだ。

 

M そうそう。で、お店についたら、予約するときに「飲み放題で」って話だったのに、なぜか飲み放題が外れてて青ざめちゃって。結構いいコースを頼んでたから、飲み放題を別に付けるなら予算を越えちゃうし。社長に土下座する勢いで話しにいったら「いいぜ!」って言われたんだけど。

 

R 社長のそのノリいいね。

 

M 元々、概算予算で出してた金額より、6万円くらいは多くもらってたのかな。でもさらにそこから5万円もオーバーしたからね。

 

R 飯田橋に着いたときは結構しんどかった?

 

M 「うわー!」ってそのまま叫びながら走って逃げたい感じ。

 

R 幹事だから我慢してるけど。

 

M プライベートで行ってたらヤバかったと思う。幹事として一応、みんな送らなきゃいけなかったから。

 

R 最後までいないといけないもんね。

 

M そう、同期の野郎どもは一瞬で帰りやがったけどさぁ(笑)。忘年会のころは仕事も立て込んでて、つらかったんだよなぁ、

 

R リアルタイムでつらい上に、会場もつらい場所になっちゃったっていう。

 

M つらい場所に行って、さらに飲み放題も外れてる、会計も自分でするからどれくらいオーバーしちゃったかもわかるしね…。

 

R お店に行くときは、飯田橋から神楽坂へ登っていくわけでしょ。飯田橋から離れると多少は気が楽になったりするんですか?

 

M マシではあるけど、神楽坂も2人でよくお散歩をしてたっていう、地雷スポットだから。

 

R 神楽坂で動きたくないんだ(笑)。

 

M 「飲みに行った帰りに神楽坂の天下一品、めっちゃ行ってたなー」みたいな。

 

R あー、あそこに天一あるよね。

 

M 今回は東西線飯田橋に行ったんだけど、東西線もね、最後に彼の家にロングステイしたときに、飲みすぎて泣きすぎて過呼吸になって迎えに来てもらった場所だということを思い出して、なんとなくつらくはなったね。

 

R それはなんで過呼吸になったの?

 

M 私が2年生のときの学園祭で、先輩たちが引退の年だったの。その先輩たちにすごいよくしてもらってて、1年生で辞めるって言った私を、「部会とかは出なくていいから。当日来てくれるだけでいいから、俺たちはもりたにいてほしいんだよ」って引き留めてくれたんだよね。だからお別れの時に「一緒にやれて本当に良かったよ、やっぱりもりたがいなかったらできなかったこともあるし、うまく言えないけどほんとにお前のこと好きだぜ!」ってノリになって、「あたしも先輩たち好き!」って言って、先輩たちもめっちゃ泣いてて、私ももらい泣きして。帰りの電車でも泣きすぎて、最終的に迎えに来てもらった(笑)。

 

R 今回はその思い出もよぎったんだ。

 

M それでも、行くときは幹事として忘年会を仕切らなきゃっていう気負いがあったから大丈夫だった。問題は帰りだよね。そんなにお酒を飲んではいないとはいえ、注がれたらやっぱり飲まなきゃいけないし、幹事をやるっていう気負いが全部なくなるわけじゃん。その状態で飯田橋にいると「つらい、つらい、つらいしか出てこない…」って(笑)。

 

R 飯田橋は今行ってもちゃんとつらいことが確認できたわけだな。

 

M うん、たぶん今、東口に降りたら私の顔が一瞬で土の色になる(笑)。

 

 

年始だけの関係

 

R 飯田橋でつらさを確認した年末を経て、年始はどんな感じ?

 

M 年末は帰省して、旅行に行って、その間にいい感じに連絡とっている人がいたんだ。年が明けたら飲みに行きましょうって約束してたから、1月3日に会った。それなりに楽しくて、会話のテンポも合う感じの人だったから、楽しく飲んで、話の流れで「このまま付き合っちゃう?」みたいな感じになって。

 

R 出た、そのノリ。

 

M 一瞬そういう感じになったんですよ。で、その流れで23時半くらいまで飲んで「じゃあ、そろそろ…」って帰ろうとしたら、相手が「帰っちゃうの?」って言ってきた。向こうはベロベロに酔ってて面倒くさかったから、「私の家に来てもいいけど、結構遠いから」って言ったんだけど、泊まりに来て、そんなつもりなかったのに朝の3時半くらいにたたき起こされてやることやって、次の日に予定があったから、新宿まで一緒に行って別れて、「寝過ごさないようにね」「ありがとう」とか言い合った3分後くらいに「あのさ、付き合うって言ったの白紙に戻したいんだけど」って連絡きて。

 

R ははは(笑)。

 

M 「は!?」みたいな。

 

R 「俺酔ってたけど、付き合うって言ったな…」って我に返ったのかな。

 

M 相手の感じが面倒くさすぎて、私が割と冷たくしたっていうのもあるけど、「やりたいだけだったら色恋混ぜんな! そのやり方は三流だろ!」と思った。「やりたいだけだったらそういうこと言わずにやれよ!」って。それで「わかった」って返信したんだけど、その夜に、美術館に行った写真を友達に送ろうとして、そいつに間違えて送っちゃって「誤爆した…」って。

 

R 相手からしたら「白紙に戻そうって言ったのに、美術館の写真送ってきた…」。

 

M しかもテンション高めで「見て見て!」って。

 

R 「見て見て! 美術館楽しかったよ!」ってきたら、向こうは「あれ…?」ってなるよね。

 

M 私も「あれ…?」ってなったよ(笑)。その相手はペアーズで知り合ったんだけど、写真を誤爆した2日後くらいに、ペアーズ開いてみたら、連絡欄のところからその人の名前が無くなってたから、「退会者を表示」にしたら退会してて、「これは退会したのか!? それとも私はブロックされたのか!?」ってなるという、そんな新年。

 

 (笑)。相手も「怖い!」って思ったのかもしれないよ。関係は白紙にって言ったその日に、「美術館行ったよ!」って写真が届くのは相手側からしたらホラーじゃん。「なんだこいつ!?」ってなるよ。

 

M 「こいつ、諦めない心を持ってるな…」ってなったのかもしれないね(笑)。近況報告はこんな感じかな。「飯田橋に行ったよ!」っていうのと、「彼氏ができて数時間で別れるという、新年早々いいスタートを切ったよ!」って(笑)。

 

R ははは(笑)。今でもちゃんとつらい場所だったわけだし、最終回はやっぱり飯田橋に行かなきゃなぁ。

Part2-3 @新宿(東京都庁の展望台・後編)

もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。東京都庁の展望台の喫煙室で、もりたがたまに見るという悪夢について話し始めます。新宿編最終回。

(付き添い・記事編集:Ryota、2017年11月23日収録)

 

悪夢を見た朝は

 

Ryota(以下:R) 今日は企画の一回目で、新宿を回ったけどどうだった?

 

もりた(以下:M) やっぱり飯田橋の彼は強い。あいつ強すぎ。

 

R 精神的につらいところあった?

 

M あるでしょ…。鉛を抱えてる気分で「うっ」ってなる。「あっ、好き」って。でも、「じゃあ、もう一回付き合うの?」って言われたら、うーん、実際は違うかもしれないけど、良かった思い出は美化されていくじゃん。今だったらもうちょっと色々言えると思うし。あの頃は絶対、あの人に怒れなかったから。時々、彼が「ごめん」とか謝ってくる夢を見るんだけど、そのときも怒れない。自分では夢だってわかってるから、何を言ってもいいはずなのに、顔を見ると言えなくなっちゃう。

 

R その夢はよく見るの?

 

M この半年位は見てないかな。でも年に一回以上は絶対見る。そのときは「私、いま、本当にしんどいんだな」って思うよ。

 

R しんどい時期に、それに引っ張られてつらい夢を見ちゃうんだ。

 

M なんでそんな夢見るんだろうと思うけど…。あの人に対しては怒れないんだろうね。東京駅で3時間遅刻したときも怒れなかった。さすがに「寒いし、つらいよ」って文句は言ったけど、それ以上はなかったな。

 

R そこで怒れたら何か違ったのかな。

 

M 違ったかもね。夢の中でも怒ろうとするんだけど怒れないんだよ。相手が「本当にごめん、あのとき誕生日も祝えなかったし」とか泣きながら謝ってくるんだけど、私が傷ついてることは全然わかってないなって感じる。でも怒れなくて、「いいよ」って言っちゃう。夢の中で「あのときのあれってさ…」って切り出しても、相手に「そんなのあったっけ?」って言われるし。「そういうところも本当に好きじゃなかった。嫌いだった。あのとき、ああいうことされて本当に傷ついたし、覚えてないかもしれないけど、この何年もつらかったし、あなたのせいで行けなくなった場所もいっぱいあるし、なんでそんな風にあなたばっかり幸せになるの?」って言いたいんだよ、本当は。夢なんだから、相手がどう思うかとか考えなくてもいいし、私がスッキリするだけだから、言えばいいのに、言えないんだよね。絶対言えない。でも意を決して、文句を言おうとしたり、「夢だってわかってるけど、私は本当に好きだったよ」とか、何かけりをつけようとするところで大体目が覚めるんだけど、まぁタバダバ泣いてるんだよね。泣きながら目覚めて、朝から過呼吸になって。「やっぱり夢だったし、今回も何も言えなかったし、しんどいな」って思いながら朝を迎えて、泣いてるとメイクできないから頑張って泣き止んで、目を冷やして、メイクして、なんでもない顔で会社に行って、「おはようございまーす」って。会社の人に「もりたちゃん、最近どうなの、彼氏とかできた?」とか言われたら、「全然っすねー、早く綾野剛と結婚させてくださいよー」っておどけて見せて、そういうので無駄に心にダメージを食らい、帰ってお酒とか飲んで…。で、またその夢を見たらどうしようって思って寝るのが怖くなるから、不眠の時期に入るっていう。結構ハードだよね、そう考えると。

 

R めちゃくちゃハードだなぁ。

 

M で、相手にもう一回会ったら終わるかなと思ってたんだよね。そしたら仕事関係のセミナーで、たまたま去年会ったんだよ。そのときは「やっぱりあの人好きじゃないな」って思った。しゃべり方も傲慢だし、「俺はすごい」って考えてる感じとかを見ていると別れて正解だったって思ったんだけど、それも一瞬だったよね。

 

R そのときは自分に言い聞かせてみたけど。

 

M いや、言い聞かせたっていうか、本当に思ったんだよね。やっぱり、あのまま付き合っても幸せになれなかったって。

 

R 実際に会うと嫌なところも見えるんだけど、思い出として残ってる部分があまりにも好きだったから…。

 

M そう、その場でも会ったのは一瞬だったし。

 

R じゃあ本当に、良かったころのイメージの問題なんだな。

 

M それを越える何かがあればいいのかもしれないけど、激情にかられるような年齢でも無いしさ。「どうなってもいい!」とかならないし、仕事も大切だし。そこまで来ちゃうと人を好きになることも怖いし。だから付き合っても「きっと別れるんだろうな」って思う。「別れるじゃん、さよならじゃん」って。そう思っちゃう。

 

R 心配になってくる話だな(笑)。

 

M でもさ、生きてるから平気だよ。生きてればどうにでもなる。

 

R 死にたくはならない?

 

M ううん、なる(笑)。

 

R (笑)。

 

M しょっちゅう死にたくなるけど、でも、死んでもどうにもならないじゃん。生きてればどうにかなるから。意外と強い女だよ(笑)。弱いなりに強いからね、そういう傷を隠すために、また別の傷を作っちゃうんだろうね。

 

R 虫さされのかゆみを誤魔化すために他の場所をつねるように。

 

M それに近いかもしれない。

 

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傷つく前に、傷ついちゃえ

 

M (都庁を離れ、新宿駅へ向かいながら)女子高生短歌で、彼に対する私のスタンスを言い当ててるなって思った短歌があって。「幸せになれるだろうないつかまた会うとき君が不幸だったら」っていう短歌を見て(エリ・著「女子高生短歌!」)、「そういうことなんですよ!」と思った。

 

R 相手が不幸だったらいいなと思うの?

 

M 「私がこんなにつらい思いをしてるのに、なんでお前は彼女をつくって、普通に幸せに暮らしてるの!? なんで私だけつらい気持ちにならなきゃいけないの!?」ってすごく思う。でも、他人の不幸を願っているうちは自分も幸せになれないし、それ以上に、やっぱり好きだったから幸せにはなってほしいんだよね。「嫌なやつ!」って思ってたけど、結局嫌いになれないから。だって好きだったんだもん。でもさ、みんな、相手のことを考えずに、勝手に傷つけるじゃん。そういうとき、ちょっとだけ、「だったら私も傷つけてもいいや」って思っちゃったんだよね。

 

R 「お前らがその気なら私もやるぞ」っていうことか。

 

M 「私もそっち側の人間として生きてやるよ」って思ったんだけど…。でも結果、勝手に傷つく癖は抜けないからつらいよね。

 

R こっちは傷ついてるんだから、傷つける側にも回れないと割に合わねぇってことでしょ?

 

M そうそう。でも、人に優しくありたいとは思うんだよね。本当は誰も傷つけたくない。どんなに傷ついたって、それは私の痛みとして全部自分で受け入れるけど、私は人にされて嫌なことはなるべくしたくないって思う。今、結構やっちゃってるけど(笑)。でも、本当は自分の不用意な発言で傷つけるのも嫌だ。

 

R 「お前らが私を傷つけるなら、こっちもお前らも傷つけてやる」ということで感情のバランスをとる方法もあるけど、それを率先して選びたくないわけだよね。でも、そうなってくると、それ以外の方法で、勝手に傷ついている自分とうまく折り合いをつける納得の仕方が見つかってないって感じかな?

 

M だから「傷つく前に、傷ついちゃえ」って思っちゃうんだよ。思わぬところで傷つくから、余計に痛いわけじゃん。紙で手を切ってさ、気付いてないときは痛くないけど、気付いたときってめっちゃ痛いじゃん。人からもらう痛みってそういうもんだと思うんだよ。で、気になっちゃうから余計に触って傷口開いちゃったりもするし。だから、自分の予想外の痛みよりは、コントロールできる範疇で先に傷ついちゃった方が、つらくないんじゃないかって思ってる。

 

R ある意味、もりたが傷つきに行ってるのは自己防衛なんだ。自分から予想できる力加減の傷つき方をしておくっていう。

 

M そうしてちょっとダウナーに入ってからリカバリーした方が、まだ最終的には傷が浅いかな、みたいな感じ。だから今も自分起因じゃないところでつらいことがいっぱいあるからさ、この企画に乗っかっておいて、多少古傷をさわっておけばいいんじゃない? ってところもある(笑)。体調悪いときでも「風邪ひいた」って思うより「二日酔いなんです、これ!」って考えた方が、「治せる!」って思いこめるじゃん。それぐらいのニュアンスなのかな。

 

R あー、なんかすげぇ、もりたが分かった気がする。

 

M えー(笑)。こんなんでわかるの?

 

R いや、「なんで自分からそんなに傷つきに行くの?」と思ってたけど、それはわかった。自衛なんだね。

 

M そうだよ。

 

R 今日は、なるほどって思うことがいっぱいあったな。いやー…東京はつらい場所ですなぁ。

 

M 東京はつらい場所だよー。

 

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R あー、もうこの辺はクリスマスムードだ。

 

M やめてくれよ、今年もシングルベルだよ。

 

R シングルヘル。

 

M どうせ納期前で死んでるよー。

 

R 俺は常時ヘルだから。

 

M わかる。地獄だよね。そろそろクリスマスディナーとかで過ごす素敵な年がほしいなー。

 

R やっぱりそういうこと、やりたい?

 

M したくない? 様式美として。

 

R まぁねー。

 

M でも、別にいいかなー。家でファミチキ食べるから(笑)。