Part9-2 @飯田橋(印刷博物館~飯田橋駅)
もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。印刷博物館に立ち寄り飯田橋の彼の家を経由して、飯田橋駅に向かいます。その時、もりたの胸に湧き上がる感情とは…。
(付き添い・記事編集:Ryota、2018年12月22日収録)
印刷博物館から彼の家へ
Ryota(以下:R) さぁ、印刷博物館。初めて来たけど、いい感じのところだね。
もりた(以下:M) そうそう、普通にいいスポットなんだよ。今は「天文学と印刷」展だね。あとブックデザインの展示もやってる。
R めっちゃいいじゃん。館内写真撮影は禁止っぽいから、サッと見て回ろう。
M 常設展がいいんですよ。印刷の始まりから最新技術まで歴史を追っていけるようになってる。印刷する前にまず、何かに絵や文字を書くっていうところから始まったのが、時代が移り変わるうちに、版を作って量産ができるようになっていくわけです。こういうのを見ながら「すごいよねー」って話すのが楽しかった。
R 確かに、結構見ごたえあるね。
M ブックデザイン展もちょうど同じ時期にやってたから、彼と来たんだよなぁ。「また来ようね」って言ったけど、結局2度目はありませんでした。…なんで飯田橋の彼じゃなくてRyota と見てるんだろう…。
R それは仕方ないじゃん(笑)、今日は諦めてよ。
M なんだかなぁ~、腑に落ちないなぁ~。…とまぁ、こういうところで彼とああでもないこうでもないと話して、気が済んだところで「じゃあ帰ろう」って彼のお家へ行くわけですよ。
R それじゃあ、いよいよ飯田橋の彼の家の近くまで行きますか。気分はどうですか。
M つらいに決まってるじゃないですかぁ。つらいしか言えないくらい、つらい。
R そこまで取り乱してないように見えるけど?
M 一周回って心が無になってきたよ…。もうあれこれ考えたくないもん。…あの頃は幸せだったなぁ、メンタルは今よりも病んでたけどね…。ねー。やばい、もう着いちゃうよ。
R どこ?
M 待てよ、心の準備させろよ。うわ…、そこのコンビニめっちゃ使ってた…。
R ははは(笑)。
M 彼の家に行く時は、そこのコンビニでいつも待ち合わせてたんだよ。「必要なものは買っておいたから迎えに来て」って言って。…そして、横断歩道を挟んだ向かいにあるのが、彼の家です。
R このマンション?
M これの4階か5階だった。
R コンビニのどのあたりで待ってたんですか、いつも。
M 普通にお店の中。
R じゃあ、コンビニ入っておく?
M 入んない。
R 入ろう。
M いや、だって、なんにも買うものないじゃん。
R 一応さ、入っとこうよ。
M えー…。
R (店内に入って)久しぶりに来て、どう?
M あんまり変わんないな。
R いつもどの辺にいたの。
M ここで雑誌とか見てた。彼が来て、「待った?」「いや、そんなことないよ」みたいな。
R 合流して、店を出て、ここの横断歩道を渡って、二人でマンションに行って。
M ちょっと、追い込まないでよ。この横断歩道は渡りたくない。
R ここの信号で並んで待ってたわけだ。「今日疲れたねー」とか言って。
M …はい。
R その日のこととか喋ったりして。
M はい、そうですよ。
R 信号が青になって。
M ……。
R 渡って、彼のマンションに行って。
M うん、渡んないけどね。行かないよ。絶対やだ、もう行かない。
R 行こうよ。
M 行かない! だってもうここ来ないもん!!
R 行かないの?
M 嫌なことは嫌だって言っていいんでしょ!? この横断歩道は渡りません!!
R …じゃあやめとくか。彼氏の家の方にさよなら言っておこう。
M …ありがとう、飯田橋の彼よ。もう二度とくることはない。もしくはいっそのこと住む。
R 逆に住むのか(笑)。
彼の家からの帰り道
M この辺も変わったなぁ…。こんな感じだったっけ。彼の家から駅に行く時は、いつもこの道を使ってたんだよ。「次はいつ会えるかな」とかそんな話をして…。あー、嫌だなぁ。
R どうした?
M 楽しかった思い出までつらい思い出になってるのが、嫌だなぁと思って。
R まだちょっと心の中でわだかまってる感じ?
M うん。
R そりゃ簡単に立ち直れないわな。
M 一生立ち直れないんじゃない!?
R うーん、立ち直れないにしても、そのしんどさと上手く距離を保てたらいいよね。
M そうだね…。うわぁ、ここの信号、待つのが長いんだよなぁ。彼の家に行くときは早く青に変わってほしいのに、帰りは全然青になって欲しくないの。ちょっとでも長く一緒にいたいから、そう思っちゃうんだよな。
R どうでしたか、久しぶりの飯田橋は。
M タバコ吸いたいな。
R ふふふ(笑)。
M つらいからタバコ吸いたい。何が「飯田橋を克服しよう!」だって話ですよ。
R ここに来ての結論は、「結果、克服できませんでした」っていう。
M 無理でしょ、できないよ。
R これからも避ける?
M 極力はね。
R そっか。今も結構きつい?
M きつい! きついよ。
R 確かにちょっときつそう。
M まぁ、一番きつかったのは、コンビニから彼の家に向かって横断歩道を渡る再現をさせられそうになった時ですけどね!
R ごめん、いや、さっきのあれはマジでもりたを追い込みに行った(笑)。
M 許さねぇ!「Ryota死ね!」って思ったもん。
R せっかくの企画だしね、心を鬼にしたんですよ。
M いやいや、めっちゃ嬉しそうだったよ! 追い込むの、楽しくなっちゃってたよね?
R まぁね…(笑)。
M ひどいぞ!
R …もう行くことはないんだろうね、あの場所には。
M 行くことはないと信じたい。この高速道路のある光景、よく見てたなぁ。「高速沿いの家だから外干しができない」って彼が言ってて、よく室内乾燥機で服を乾かしてましたね。排ガスで汚れちゃわないようにって。
R さて、飯田橋の駅の方に戻ってきたよ。いつも東口から電車に乗ってたんだっけ。
M そう、東口。改札まで送ってもらってた。
R じゃあ改札の前まで行ってみようか。
M そうだね。ここで、歩道橋を上るんですよ。うわぁ、この景色久しぶりだ。あっち側にまっすぐ行けば彼の家で、こっち側に行けば自分の家でという、分かれ道だよなぁ、ここは。あー、このままここから飛び降りて飯田橋に散りたい!
R 完全に俺が疑われるじゃん(笑)。
M そうだよ、「Ryotaのせいだ」って言って散ってやる!
R やめてくれ(笑)! 駅の方へ歩道橋を降りていって、飯田橋を一周したね。とりあえず改札まで行っておこうか。
M この改札で、「またね。家に着いたら連絡するね」とかやりとりがあって解散する。
R ここの改札混んでるね。
M いつも混んでるんだよ……。じゃあ、退却しますか。
R すぐ引き返すな(笑)。
M もう確認したもん、確かに飯田橋駅でしたって。…で、こっちのセントラルプラザでもよくデートしてたよ。
R 神楽坂から凸版の方に回って、飯田橋周辺をひと回りしてきたね。東京のつらい場所最終回ですけど。
M 最終回かー。
R どう?
M まぁ、克服はできなかったねー。
R 結局変わんなかったか。何か改めて発見はあった?
M うーん、やっぱりあいつが死ぬか私が死ぬかしか、この先の幸せはないのかもしれない…!
R そんなこと書けねぇよ(笑)!
M だってさぁ、こういう外に出てるベンチに座って、二人で並んでアイス食べたんだよ。ほら、イルミネーションが綺麗でしょ。
R あー、本当だ、綺麗。
M もう彼とは会えないけどね。
R 一年かけて、もりたは当時どんなことを感じてたのか、どうして飯田橋の彼とはあんな結果になったのかをできる限り振り返った上で、最終的に「会えないんだなー」っていう、その残された感情にただやられる着地になってしまった…。
M 色々考え抜いて最終的に、「もう会えない」という事実だけが残っただけ…。
R 今回、感情的に一番ヒリヒリしたのはどこ?
M やっぱり、彼の家からの帰り道をなぞってしまったことかな。駅まで行くってことがさ、付き合ってた当時は「今日の楽しい時間はもう終わり」ってことだったし、この企画としても、「今までのうだうだした気持ちに決着をつけなきゃ」って意味でもあるし。
R 企画としても感情としても何かしらの終止符を打たないといけない。
M そのために来てたのに、全然終止符を打てる気がしないよ。だって…だってさぁ…。
R うわっ!(濡れた階段で滑って転倒) いてて…。
M 大丈夫!? 平気!?
R 腰を打った…。
M 綺麗に転んだけど!?
R うわぁ、ケツが痛ぇ…。
M もりたをいじめた天罰だよ…。
R うぅー、マジか…。
M ……ふふっ、…はははは(笑)!
R もりたが飯田橋で笑ってる…(笑)。
M ははは、ざまあみろ(笑)!
R 元気でた(笑)?
M でない(笑)! ただ、私に無理やり横断歩道を渡らせようとした天罰だと思えば、少しは気持ちが晴れたかな。
R でも、もりたがちょっと和んで良かった~、 …にしてもケツ痛ぇっ!
M ははは、マヌケだなぁ。久しぶりにあんなに綺麗に転ぶ人を見たよ(笑)。
R 俺が転んだことでもりたの厄が落ちたのでは?
M 確かに、落としてもらったのかもね(笑)。
R この企画、そんな着地で終わるの(笑)。
M まさかの展開だよ!
R だから今度から飯田橋に来た時は、俺が転んだのを思い出して。そしたらちょっとマシなんじゃない(笑)?
M そうだね、Ryotaが滑ってコケた場所。スッテーンってなってたから、ちょっと印象は塗り変わったかもね(笑)。
R 何はともあれ(笑)、町歩きパートはこれで終了。この後、企画を振り返るアフタートークをやりましょう!